み仏の三業と三密

今年に入って世界中で猛威をふるっている新型コロナウイルス感染拡大の最中、日々、逼迫する医療現場や感染のリスクを伴う社会的業務に携わる方々に、まずは心より感謝と応援の気持ちをお伝えしたいとおもいます。

さて、新型コロナウイルス感染拡大への対策を背景とし、「三密」という言葉が話題となっています。
「密閉空間」「密集場所」「密接場面」の重なりを避けて、ウイルス感染のリスクを出来る限り抑制しましょう、
という試みをさすキーワードとして多くのメディアで取り上げられています。

古くより使われる仏教の言葉にも「三密」というものがあります。同じ漢字を書く言葉です。

私共の身と口と心による三つのを行いを、仏教では「三業」というのですが、
その三つの行いを私達がお手本とする仏様の三業にぴったりと寄りそわせて行く事が
古来、仏教では、「身密」「口密」「意密」の「三密」という風に呼ばれてきました。
この三密に最も親しみ易いのが坐禅です。
身を調え、口を調え、心を調えた坐禅の姿は仏様の印、「仏印」とも呼ばれます。

ここ数ヶ月、インターネット上で「ステイホーム」「家で過ごそう」というメッセージが広がる中にも、
ソーシャル・ネットワーク・サービス等を利用した坐禅会やワークショップを開くという活動が観られるようになりました。
このような活動は日本だけでなく、アジア諸国、ヨーロッパ、北アメリカ、南米等、世界中で広がっており、
多くの方々が坐禅を心のよりどころとし、二十四時間、この地球のどこかに太陽の光が当たっている間、世界の誰かが、ただいまこのときを坐禅をしながら、丁寧にすごしていらっしゃるのだなあと実感しました。
そしてまるで世界中にインターネットが広がっているのと同じように、「ただひたすらにすわる」という坐禅を通じて、世界中の方々とつながることができるのだと改めて気付かされました。

朝がこない夜はありません。
先がみえず、誰もが心に不安を抱える状況であるからこそ、
世界中のすべての生きとし生けるものが仏様の姿となって、おさとりのご縁の中につながる事を願ってやみません。