つながっているから、想いが届く

七月に入りました。これからの季節、各地のお寺では「施食会」という供養が行われています。

この施食会では、本堂に棚を設け、お位牌を安置致します。中央におまつりするお位牌には「三界萬霊」と書かれております。
これは、檀信徒の皆さまのご先祖さまはもちろんのこと、この世の全てのいのちをおまつりしたお位牌です。
この世の生きとし生けるもの全てのいのちに対し、野菜や果物、ご飯など色々な食べ物をお供えし、
その霊の安らかなることを願う供養でございます。

なぜ、この施食会では、自分たちのご先祖さまだけではなく、この世の全てのいのちに対して供養をするのでしょうか?

先日、缶コーヒーのテレビコマーシャルを見て、私ははっとさせられました。
「世界は誰かの仕事でできている」というタイトルがつけられたそのテレビコマーシャルでは、道路工事の人、
地図を作る人、お弁当を作る人、野菜を作る農家の人、野菜を運ぶトラック運転手、そして最初に登場した道路工事の人へと、
感謝の気持ちがつながっていく、という内容でした。

私達は一人で生きているわけではない。私達は、直接会うことはなくても、必ず誰かのおかげで生きている。
全てのいのちとのつながりの中で生きている。わずかな時間のテレビコマーシャルに、
私たちにとって大切なことがギュッと込められていました。

施食会では、なぜ全てのいのちに対して供養をするのか?その答えは、全てのいのちとつながって私達が生きているから、なのです。

つながりには、自分と直接つながっていることもあります。姿や形は見えなくても、間接的につながっていることもあります。
ですから、私達は、つながりの中で今を生きていることに感謝をし、
全てのいのちに対して分け隔てなく、供養をつとめるのです。

全てのいのちとつながっているからこそ、私達の想いが亡き方々のもとへ、巡り巡って必ず届くのです。
それぞれのご家庭でも、お仏壇に心尽くしのお供えをして、全てのいのちに手を合わせ、ご先祖さまに手を合わせ、
「おかげさまで」「ありがとうございます」想いを届けてまいりましょう。