掌を繋ぐ

本日は『掌を繋ぐ』というお話させて頂きます。

私はご法事等お檀家さんのお宅へお参りに伺った際、最初に
「それでは皆様これより御供養をお勤め致しますので合掌をお願い致します。
合掌とは手のひらをしっかりと合せる事をこれを合掌と申します」とお伝え致します。
そしてお参りが済むと
「皆様、先ほど会わせて頂きました合掌を開いたら、
そこには何が見えますか?」とこんな質問をさせて頂くのです。

皆さんなら何と答えられるでしょうか。大抵の場合は「てのひらとか手相とか手のしわ」
と答えられます。私達の掌には手の相と無数のしわがございますが、
これは私達一人一人が今までどのように生きてきたのかと言う証が刻まれているのです。

何故そんな風に思うようになったのか。それはこんな言葉を頂いたからなのです。

これはあるお檀家さんがおっしゃっていた言葉なのですが、
「私の右手のしわは今まで誰かに有難うと言った数、左手のしわは誰かに有難うと言われた数、
だったら左手のしわが多い方が嬉しいね」

右手は今まで受けた出来事を表します。そして左手は自分自身を表すのだそうです。
ですから右手のしわは様々な物事や人々にして頂いた御縁を表し、
左手のしわは自分自身がしてきた事、繋いだ御縁を表します。
だからこのお檀家さんは自分が有難うと言うよりも、有難うと言われた数、
繋いだ御縁が多い方が良いとおっしゃったのです。

皆さまの掌はどうでしょうか?もしも左手の掌の方がしわが
少ないという方がいらっしゃいましたら、どうかこれから沢山の良い御縁を繋ぐ事が出来る様に、
ゆっくりと掌を見つめ、自分自身を見つめる時間を作って頂きたいと願います。

私達は沢山の御縁と繋がりながらその日々を暮らしています。実際に頂く御縁の中には、
本当は受け取りたくないと思う御縁も有るかと思います。むしろその方が多いのかもしれません。
ですから自分から繋ぐ御縁だけは、心から有難うと思って頂ける様な御縁にして繋ぎたいですね。
実際に手に手を繋ぎ合ってその御縁を良き御縁にして頂きたいと思います。

今から急に始める事が難しいかもしれません。その時はまず、自分自身が頂いた御縁と、
自身がこれから繋ぐ御縁。その両手の掌刻まれたしわの一本一本に有難うという想いを
込めながらしっかりと掌を合わせる事から始めましょう。

それでは良い御縁を繋ぐ合掌をお願い致します。