前後際断

さて、今回は「前後際断」という禅の言葉を紹介させていただきます。

この電話をお聞きになっておられる方の中には、
「思い通りにならなくてイライラする」、「心配な事があって落ち着かない」といった
経験をされた人も多いことでしょう。
そんなときに役に立つかもしれない言葉、それが「前後際断」です。
前後は「まえ」「うしろ」、「さい」は水際(みずぎわ)の「きわ」という字で、
「だん」は断るという字を書きます。

「前後際断」とは、過ぎ去った事にこだわらず、
起こるどうかも分からない事に不安にならないように、過去も未来も断ち切って、
今出来る事を一生懸命にする、という意味です。

私も、穏やかに過ごせない時がありますが、この「前後際断」を心掛けていると、
嫌な感情から解放される場面は増えると思います。

「前後際断」という言葉を思い出せなくても、
近所のお寺や神社、公園などに、大きな木があれば、その太い幹を眺めると、
穏やかな気持ちに戻りやすいので試してみてください。

あなたより、はるかに長生きであろう、その大きな木を前にして想像してみてください。
その木が生きてきた長い時の流れを…。そして自分自身の現在に戻ってきます。
すると、どうでしょうか。過去と未来からスパッと切り離される瞬間がありませんか。
私の場合は、境内にある樹齢300年程の杉の木を眺めます。
すると「大らかに生きていこうよ」と、杉の木が言ってくれたような気がして、
ふわっと気持ちが落ち着きます。近所に大きな木が無ければ、頭の上で、
手を組んでグーっと背伸びをしてみてください。
ゆっくりと息を吐きながら背伸びをすると効果的ですよ。

あなたの気持ちが良い方に切り替わりますように。