【人生とポイントカード】

先日、近所の小学校の図書館に、幅十メートル程の本棚が新しく入りました。
聞けば、コロナ禍で、しゃべることを制限され、やりたい事もできない。
そんな子供たちをふびんに思い、この現状を逆手にとって、
本に触れる喜びを知ってほしい、一冊でも多く本を読んでほしいとの思いで、
ある保護者の一人が寄付して下さったそうです。
その人の奇特な行いと、素晴らしい気付きに、本当に心温まる思いでした。

そんな心優しい保護者の行いを、仏教では「功徳を積む」といいます。
すなわち、自分以外の人の為に何かをすることです。
その功徳には、一つ条件があります。それは、見返りを求めないということ。

私は、自分が何か良いことをしたら、誰かに気付いてほしい、
そして「ありがとう」と感謝の言葉を期待してしまい、
見返りを求めてしまうのが自分です。
それではせっかく良い行いをしたとしても、功徳は水の泡と化してしまいます。

功徳と言うと、ボランティアや人助けのように、
何か大きな感謝が返ってくることだと思ったりしませんか?
実はそうではなく、道でごみを一つ拾うことも、功徳を一つ積むことになります。
他にも、人に優しい言葉をかけてあげること。
これを「愛語(あいご)」と言い、また、
相手に微笑んであげることを「和顔施(わげんせ)」といい、どちらも大切な功徳の一つです。

本山での修行時代にある老師がこうおっしゃってました。
「私達は皆、一つ一つと功徳を積み上げて生活をしているとある時、良いことが起こる。
良いことが起こったら、積み上げてきた功徳がポンと0(ゼロ)になり、
またイチから積み上げていくと良いことが起こる。その繰り返しが人生だよ」と。

何かポイントカードのようですね。みんな同じで、みんな今ゼロから積み上げているのだなあと。

功徳には大きいも小さいもありません。
優しい言葉をかけてあげることや、笑顔で接してあげることなど、
出来ることから一緒に行っていきましょう。
そうして功徳を積み上げていれば、辛いことが続いたとしても、必ず良いことが起こります。
そして、心が一つ一つ満たされていくのだと一緒に信じていきましょう。