想いを力に

現代社会、X（ツイッター）やインスタグラムなど。いわゆるSNSは、日常に欠かせないツールとして幅広い世代に使用されています。スマートフォンがあればどこにいても情報が発信でき、イイネやコメントで世界中の人と交流ができる。とても便利な機能だからです。ですが一方、SNSを巡った様々な事件、悪質なイタズラ動画の投稿、職場への迷惑行為など。そのような身勝手な投稿があとをたちません。今、一つの社会問題となっていますが。現実社会と比べると、自己中心的な人が目立っている印象を受けます。どうしてでしょうか。今日は、その事についてお話をさせて頂きます。

まず初めに。私達の日常生活において、自分の思うようにならないことって沢山ありますよね。これを仏教では、無常と説きます。無常とは、この世界に永遠不滅な物は存在しないということ。肉体、財産、名誉、全てが絶えず変化を続けては、突然パッと消えてしまう儚いもの。心で想いを巡らすことは出来ても、完璧に自分で制御できるものはないという教えです。

私達の体も無意識に心臓は動きますし、意思に反して風邪を引きます。即ち、自分の思い通りにならないのが当たり前ですし。私達の生きる世界そのものです。だけど私達は、そんな無常の世界に理想の自分を思い描こうとする。時には、周りと比べてこうあって欲しい。富や名声にも熱を上げ、心に多くの欲望をぐつぐつと沸かしてしまう。終いには、思い通りにならない現実と理想の間で、俺が！私が！と心が叫びだす。沸騰したヤカンのように。そうなると、自分を見失ってしまうのです。

SNSは、素敵な道具ですが。時に現実社会では満たされない心に火をつけます。するとどうなるか、欲望にのぼせてしまいます。自分に能力を持ち合わせていなくとも、周りに認められたいと衝動にかられてしまえば。SNSがその心をパッと映し出す。鏡のように。一瞬の想いが、一瞬で全世界へ伝わってしまうのです。SNSの問題が後をたたない要因です。

そこでもし、心がざわつくことがあれば、立ち止まって深呼吸。呼吸を整えてみる。無常であるからこそ、一時の欲望に心を支配されないように。立ち止まって冷静になってみる。そしてその想いを今度は力に変えて。まずは、現実社会で一生懸命に自分を磨いてみることです。何事も、真面目な努力があってこそ。評価はその後についてきます。いえ、真心で真剣に生きることが出来れば、その時はもう世間の評価なんてどうでもいいかもしれません。