お盆を迎えて
八月が近づいてきますと、スーパーの店頭には、お供え物やお線香のコーナーが目立つように置かれ、「お盆の季節だな、今年もご先祖さまが帰って来られるな」という気持ちになります。
先日、昨年亡くなった先輩和尚さんを偲ぶ初盆供養を、息子さんお孫さん、生前親しくしていた方々と一緒に執り行いました。その際、一緒に参列していた和尚さんが、「故人が御詠歌が好きだったので」と、盂蘭盆会御和讃をお唱えされました。
盂蘭盆会(うらぼんえ)御和讃
(一)瞼(まぶた)をとじれば在りし日の
面影(おもかげ)浮かぶみほとけを
法悦(よろこ)び迎えし盂蘭盆会(うらぼんえ)
いのちの集(つど)い 有難(ありがた)や
お唱えを聞いておりますと、私の脳裏には、先輩和尚さんとの思い出が蘇ってきました。私が僧侶になる決心をして修行に旅立つまで一ヶ月ほど、お寺で寝食を共にして、様々なことを教えて頂きました。衣の着方、食事の作法、坐禅、一緒に行いながら教えて頂きました。また、いつも笑顔を絶やさず、檀信徒の皆さんから慕われた方でした。その姿からは多くのことを学ばせて頂きました。
法要が終わった後には、皆さんそれぞれに故人の思い出が溢れでて、皆さんが口々に「こんなに思い出話で盛り上がるなんて、和尚さんも幸せよね」「また来年も皆さんで偲ぶ会をしましょう」私たちは、和尚さんと本当に有り難いご縁を頂いたのだな、と感じるひと時でした。今、その姿は見えなくとも生前に学ばせて頂いたことを、これからも行っていく。改めて自分の日々を見つめるひと時でもありました。
お盆は、亡き方々と私たちを繋ぐ大切な行事です。お仏壇にお供え物をし、お線香をあげ、静かに手を合わせると、亡き方々との色々な思い出が浮かんできます。その一つ一つが今を生きる私たちの教えとなり、人生の道しるべとなるものです。改めて、亡き方々とのご縁に感謝しながら、この頂いた命を大切に、毎日を過ごしてまいりましょう。