時の流れが早く感じたら

暑かったお盆が過ぎ、お彼岸が過ぎ、10月に入りました。今年ももう後、数ヶ月もせずに年末がやってまいります。年が明けたかと思うとあっという間に1年が過ぎてゆくような、そんな思いがいたします。幼い頃はもっとゆっくりと
時間が流れていたような、大人になって歳を重ねるごとに時間が過ぎるのが早く感じるような、そんな気が致します。

そのような話をすると、年上の方からよく、
「これから先、もっともっと早く感じるようになるよ」と言われる事も多々あり、多くの方が似た思いを抱かれているのだなと感じます。
「歳を追うごとに時間が早く感じるようになる」のはなぜだろうと調べてみますと、人の手によってちゃんと研究がされており、その理由も解明されていました。

大きな要因の1つは、大人になると新しい体験をする数が減るからだそうです。子どもの頃は、日々、初めての体験が溢れており、いろんな出来事や、それによる感情の高ぶりが起こる数がとても多いのに対し、大人は経験済みの事が増え、子供の頃に比べると、新鮮な体験や感情の高まりが少なくなり、そのように新しい経験をすることが少なくなると時間が早く過ぎてゆくように感じるそうです。

逆に、日々あっという間に流れてゆくように感じるこの時間を、もっと充実した、ゆっくりとした時間に感じたい時には、日々新しい体験をしたり、まだ経験していない事に挑戦することが、とても効果があるそうです。

時の流れは止める事が出来ませんが、過ぎた時を巻き戻すこともできません。しかし、これから先の一日一日が充実したものになるように、大切に生きてゆきたいものです。

過ぎてしまった日が悔やまれるという事もあるかもしれませんが、

曹洞宗の経典、修証義というお経の中にこのような意味の一節があります。

「もし、これまでの多くの時間を無駄に過ごしてしまったと思うのなら、これからを改めればよいのです。人生のなかでたとえ1日でも仏さまの心をおこし、仏さまの生き方ができたなら、これまで生きた時間が無駄ではなかったと思えるようになる。そしてこれからの人生を方向づける、尊い時間となるのです。」そう示されています。

仏さまの心を起こし、仏さまの生き方をする。それを実践するのに、一番勧められるのは、お釈迦様がされているのと同じように坐禅をすることです。

今この瞬間を一番良い生き方ができるように願いを込めて、ぜひ姿勢を調え、呼吸を調え、静かに座ってみましょう。