ウィルスで露呈した己の毒
お釈迦様は「みんな自分が可愛い。自分が傷つきたくないのは他人も同じ。なので、絶対自分がされたくないことは、人にしてはいけないよ」とおっしゃっております。
まだ記憶に新しい、コロナウィルスが流行している時です。私はお昼ごはんを買いに近所のスーパーへ行きました。すると店内で「どこの者か~!県外の者は入ってくるな~出ていかんか!」と男性が怒鳴りつけているのです。相手の男性は無言のままお店を追い出されていきました。他にもこういうことがありました。車によく貼ってある、【子供が乗っています】と書いたステッカーのように、【県外ナンバーですが県内に住んでいます】のステッカーを貼って走る車を見たり、ダンボールに手書きで【法事で帰ってきています】と書いて、車の前後に貼ってお寺に来られた方もいます。
このように、当時は、県外の人がウィルスを持ち込む、そういう風潮にありました。つまり、県外から来る人を悪者扱いしてしまった現実があります。
仏教では、自分自身を苦しめる三つの毒があると言います。それを『三毒』と言って、その一つが『愚かさ』です。
愚かさとは、自己中心に行動してしまうこと。それと、知識や理解不足で、間違った行動をおこすことです。
その愚かさがあるがゆえに、人を傷つけてしまうのです。
私もしたことがあります。コロナの時もありました。トイレットペーパーが不足すると聞くと、はっきりした情報を確認する前に、急いでドラッグストアへ行き、我先にと買いあさる。
そんな状況を見て、我々は自分に危険がある時や、混乱した時は、人のことなど考えず、行動してしまうし、人を傷つけかねない生き物だと、知りました。
まずは、人間みな、その性質があることを知っておく必要があります。
そして、お釈迦さまがおっしゃるように、自分がされたら嫌なことは、絶対人にもしないこと。もし、しそうになったら、相手の立場に立ってください。また、客観的に自分を見てください。
我々は完全ではありません。相手を傷つけてしまいます。しかし、そこで落ち込んで、反省をして、そして、次に優しくできるのです。それが、お釈迦様のみ教えを受ける私たちなのです。