お線香の話
今回は、皆様方にお線香のお話をしたいと思います、まずお線香をどうして御仏前に立てているかお考えになられた方はいらっしゃいますでしょうか、私がいろいろな方にお聞きしたところ、御答えになられた方はなかなかいらっしゃいませんでした、両親がしていたから、あるいは周りがお線香を立てているから、こういった回答がほとんどでした、誰かに倣ってというのももちろん間違いではございません、しかしながらお線香を立てるという行為にもちゃんとした意味合いが有り、その中から一つを選んでお話しさせて頂こうと思います。
亡くなった方は別名、「香食身」と呼ばれます、お香の香に食は食す身は体の身と書きます、匂いを食べて生活しているという風に考えられているわけです、しかしながら匂い自体を食べているというよりは、皆さんが普段お供えしているご飯であったり水やお茶、お菓子や果物といった、いわゆるお供物がお線香の煙に乗って相手に届き、それを食べているといったふうになります、もちろん物だけではなく、お線香をあげる方の安らかにという気持ち、または感謝の気持ち、願いなどのお線香を立てて手を合わせている間の考えが煙に乗せて相手に届けられているわけですね、お線香の煙だけではなく、よくお寺やお葬式会場に置いてあるお焼香台、こちらはお線香よりも短時間で煙をたくさん出すことで、場を清めると共に、気持ちを強く相手に届けられるとされています。お線香を立てる大まかな意味は、今お話しさせていただいた通りですが、実際お線香の立て方一つとっても仏教の宗派、その土地その土地によっていろいろな立て方が有ります、曹洞宗は基本的に三本立てさせていただきますが、別のところでは一本だったり、縦にしたり横に寝かせて置いたりと様々な方法が有ります、もしご自身がお線香の立て方がよくわからないという方は、恥ずかしがらずに、どうぞご自身のお寺、またはお近くのお寺の僧侶に聞いてみると良いと思います、そこでは違ったお話が聞けるかもしれませんし、いろいろな考えや意味合いが有って面白いと思います、いずれにせよ、難しいことを長々とお話させていただきましたが、一点お線香の煙には相手に何か届けているんだなということをご存じ頂ければ幸いでございます。
亡くなった方へ思いをはせる、ご供養をするということは今を生きる私たちしかできないことです、ぜひお線香を立てる際は穏やかなゆっくりとした気持ちでお手を合わせて頂きたいと思います、これでお線香のお話を終わらせていただきます、お聞きいただき有難うございました。