もうおなかいっぱい
人の欲望とは尽きるところをしりません。
しかし、欲とは私たちが生きていく原動力であるのもまた事実であります。
その適当なところというものが大変難しいものであります。
今は小学生になる娘がまだ産まれたての頃の話であります。
新生児とは大変可愛いものでありますが、初めての子供で慣れない私にとっては抱くことも恐ろしく感じたものあります。
ある日、妻が出かけており娘と2人で家にいました。
娘が泣きはじめミルクの時間になったので欲しがっているのかと思いミルクを飲ませていました。
しかし、飲んでも飲んでもその勢いは止まりません。
大丈夫なのかと思いましたが、欲しがるので良いかと思っていましたが、しかしその後大量に吐き出してしまいました。
ほとんど飲んだ量を吐き出したのかもしれません。
その娘の苦しむ姿に驚き慌てていますと妻が帰宅し、対処してくれました。
大変怒られた思い出がございます。
新生児は満腹中枢が未発達なため、与えられた分だけミルクを飲んでしまう傾向があるのだそうです。
満腹中枢は生後3~4ヶ月頃に発達し、それまでは飲み過ぎによる吐き戻しや溢乳に注意しなければならなかったのです。
新生児の満腹中枢はまだ十分に発達していないため、「お腹がいっぱい」という感覚がありません。
欲しがるだけ与えてしまうと、命をつなぐどころか、その小さな身体に負担をかけてしまい、苦しめてしまいます。
自分の勉強不足からとはいえ、娘には大変申し訳ない思いをさせてしまい、反省しました。
仏様の教えには「少欲知足」という教えがあります。
欲望を少なくし、足るを知るということであります。
赤ん坊は自分でその限界を止めることができません。
しかし、成長した私達にはそれを制御することができます。
皆さんは欲望のままに行動を起こしていませんか。
足るを知るということを知らなければ、欲望(煩悩)にとらわれてしまいます。
欲とは尽きることをしらない大変恐ろしいものであります。
自分にとって、良い働きのものでも度を過ぎると、自分も他者も傷つけてしまい苦しみの原因となります。
今月はまもなくお彼岸を迎えます。
お彼岸ではご先祖さまを通して、お参りをしたり、お寺の法要に参加して仏さまのみ教えに触れられる良い機会ではないでしょうか。
今一度、自分自身の行いや行動を振り返ってはいかがでしょうか。
自分自身の欲のままに行動していないか、それは行き過ぎた行いで本当に必要なものなのか見極めて今を生きたいと願います。

