「我逢寺院」
2月15日は「涅槃会」というお釈迦さまが入滅された日を偲ぶ大切な仏教行持があります。「涅槃会」は、お釈迦さまがお生まれになった日を祝う「降誕会」や、お悟りを開かれた「成道会」と並ぶ仏教の三大行持のひとつです。僧堂では一週間の摂心に入り、各寺院ではお釈迦さまの涅槃図をかけたり、伝統に従って法要が執り行われたりします。どの寺院でも皆さまが仏教を身近に感じられるよう年間を通して様々な仏教行持がありますが、皆様が普段寺院を参拝する機会はどのくらいあるでしょうか。私は昨年ある著名人の講演で、寺院参拝に関する興味深いエピソードを聞きました。その方は80歳を過ぎられたお母さんと一緒に暮らす事となり、暮らす上でのあるルールを作られたそうです。そのルールとは「週に一回、宗派を問わず様々なお寺をお参りする」というものです。お母さんは「何で毎週お寺ばかり」と嘆いておられましたが「お母さん、お寺にはいつかお世話になるのだから色々見てみましょうよ」と説得し、亡くなるまでの10年間で500ヶ寺近くお参りされたそうです。その寺院巡りの中で沢山のご縁が出来て、最後には「続けてみて本当に良かった」と言われ、その方自身も仏教とのご縁が深まり、仏教を通じた様々な仕事の機会に出逢えることができた、と言っておられました。
寺院を巡るというと、仏像参拝や御朱印集めを思い浮かべる方が多いと思いますが、私は特に用がなくても訪れていい場所が寺院であると思います。寺院参拝は観光の時だけという方も、散歩の際にご近所の寺院にふらっと行ってみたり、何か考え事をしに行ったり、せっかくなので「涅槃会」のような特別な行持の際に涅槃図をじっくり眺めたり、和尚さんに説明を受けたりするのもいいと思います。皆さまも地域の中にまだまだ訪れてない寺院があるのではないでしょうか。
道元禅師は生涯様々な人に会う中で、師匠となる如浄禅師との出会いを「我逢人、我、人に逢うなり」と示されました。皆さまもこれから沢山の寺院を訪れる機会を得る事で、尊い新たな出逢い、尊い時間を得る事が皆さまにとっての「我逢人」「我逢寺院」となるかもしれません。皆さまが沢山の寺院をお参りすることで、素晴らしいご縁に出逢えることを願っております。

