AI世界のみちしるべ
本日は「AI世界のみちしるべ」と題し、お話させてい
ただきます。
私たちの周りでは、AI、つまり人工知能の技術がどんどん新しいものへと発展し、私たちの生活はとても便利になっています。スマートフォンで瞬時に調べ物をしたり、AIが作った画像や文章を見たりすることも当たり前になってきました。でも、同時に、AIが生み出す情報の中には、本当のこととそうでないものが混じり合うこともあって、何が本当に正しいのか、見分けるのが難しくなっていると感じる人もいるのではないでしょうか。
こんな時代だからこそ、仏教の教え、特に「正見(しょうけん)」の考え方が、私たちにとって大切な道しるべになります。正見とは、物事をうわべだけでなく、ちゃんと正しく見極める智慧のことです。仏教では、正しい生き方の基本として「八正道」という八つの教えがありますが、その中で一番初めに挙げられる、とても大切な教えなのです。
「正見」という言葉をもう少し掘り下げるために、「ダンマパダ」というお経を紹介したいと思います。この「ダンマパダ」は、仏教が生まれたインドで、お釈迦様が直接語られた言葉をまとめたものと言われています。仏教のお経の中でも特に古く、世界中で多くの人々に親しまれてきたお経です。「ダンマパダ」という言葉には、「真理の言葉」や「法の言葉」という意味があります。一つ一つの言葉が短い詩になっており、その一つ一つに大切な教えが込められています。
「非精髄を精髄と思い、精髄を非精髄と見る人は、邪思惟に住し、精髄に到達することなし。精髄において精髄を知り、非精髄において非精髄を知る人は、正思惟に住し、精髄に到達す」
難しい言葉ですが、簡単に言うと、「本当に大切なことと、そうでないことを見分けられない人は、間違った考えにとらわれて、大切なものにたどり着くことはできない。でも、本当に大切なことと、そうでないことをきちんと見分けられる人は、正しい考えで、大切なものにたどり着くことができる」という意味があります。
AIが高度に発達した現代では、この「正見」の智慧が、私たち自身の行動だけでなく、AI技術とどう付き合っていくか、そのヒントを与えてくれます。AIが生み出す、まるで本物のような嘘の情報に騙されず、その情報が本当に正しいのか、その裏にあるものを見抜く力が必要なのです。
また、AIはとても便利な道具です。AIなしでは生活が成り立たない未来もすぐそこに来ているかもしれません。でも、そのAIが引き起こした結果が私たちの生活を脅かすことがないように、「正見」の智慧をもって、「AIが作り出したものだから」と自分の責任から目を背けることなく、AIによって作り出されたものを正しく使う責任があるのです。つまり、自分の行動によって引き起こされた結果にも「正見」の智慧をもって、振り返ることが大切なのです。
このAI時代だからこそ、「正見」という智慧を心に掲げ、物事を正しく見極め、一つ一つの善い行いを心がけること。それは「一切の悪をなさず、善を行い、自己の心を浄む。これ諸仏の教えなり」という、お釈迦様をはじめとする諸仏の教えそのものです。この教えは、私たち一人ひとりの心が穏やかになり、そして、より良い社会が実現していくことにつながる道となるのでしょう。

