回光返照

 

こちらは九州管区教化センター心の電話です。

さて、今回は回光返照という禅の言葉を紹介させていただきます。
回光は回転の回、回るという字に光という字を書きます。
光ではなく向かうという字を書く場合もあります。
返照は返却の返、返るという字と、照らすという字の照を書きます。
「回向返照」とは外に向かって求めようとする心を、自分の内に向け、本来の自分の心を照らし出すことです。
私は30年程前、御本山で修行させていただきました。
御本山での生活がはじまった頃、私はこんな生活をしていて大丈夫なのかと不安を感じていました。
なぜならインターネトも電話もなく、新聞やテレビもなく、手紙のやりとりも出来ない生活では、なにか取り残されていくような気がしたのです。
けれども、御本山で一年も過ごした頃には私は居心地が良くなっていました。
情報を入れなくても特に困ることもありませんでした。
情報を得ることで、何か要領よく立ち回れるとでも考えていたのだと思います。
一度、情報を断ち切ってみると、自分のことが見えてきたような気がしました。
自分の心が何にどう動き、何を大切にしたいのかが分かってくると気持ちが落ち着いてきました。
自分の心が見えてくると、いわゆる「生かされている自分」が感じられるように思います。
これが回向返照ということではないでしょうか。