合掌問訊
こちらは曹洞宗九州管区教化センターこころの電話です。
最近、新型コロナウイルス感染拡大で世界中の生活様式が激変の時であります。
街中では皆マスクをつけ、人々は間隔を大きくとり接触を極力避ける。家にいるステイホームが推奨されています。
これは当たり前のことになりました。
少し前には思いもよらぬことでした。
日本人の挨拶は基本的には礼儀やねぎらいを重んじる「お辞儀」の文化です。
海外の多くは「握手」するのが一般的な挨拶で、そのほかはハグ、チークキスなどがあります。
これはウイルス対策の観点からよくないでしょう。
近年では欧米化ばかりが進んでいる感じでしたが、やはり今一度、日本の文化を見つめ直す良い機会です。
私たち僧侶の挨拶は合掌して頭をさげます。
これを合掌問訊と言います。
感謝、思いやりの心の表れです。より丁寧なお辞儀の姿です。
人と人、からだとこころが瞬く間に離れていってしまった、今だからこそ、生かされている、いのちに感謝し、周りを敬う、この合掌問訊のかたちこそ大事であると思います。
まず、姿勢を正して、両手のひらをぴったりとまっすぐに合わせて、鼻先に、こぶし一つくらい空けて美しい合掌をします。
そして、そのままこころをこめて問訊、頭を下げましょう。
私たち日本人が電話をしている時、相手が見えなくても気付いたら頭を下げている自分がいます。
これも相手への思いやりのかたちです。
知らないうちに仏教的な生活、文化の習慣が、からだに染みついているのです。
素晴らしいことだと思います。
心と身体はひとつです。
かたちをしっかりとするほど、心は自然と落ち着きます。
良い習慣が良い人間を作り、良い人間関係の和となります。
それが世界平和への一歩です。
今こそ変化の時。共にこの素晴らしい、挨拶の和をひろげましょう。
合掌